-ローストビーフは日曜日のご馳走だった-

/ 著者:お肉のてらばやし匠

風薫る季節となりました。

ゴールデンウィーク、こどもの日、そして母の日・・・と、ご友人やご親戚との集まりも多い時期ですが、時節柄、ご自宅でご家族とお過ごしになる方が増えているようです。
この時期、人が集まって食事をする際に食卓に並ぶものと言えば、旬の初がつおや山菜を使ったお料理が思い浮かびますが、最近では焼き肉のプレートを囲んだり、ローストビーフを楽しむ方も増えているのだとか。

このローストビーフ、元々は日曜日のご馳走だったと云うお話があります。

イギリスを代表するお料理の一つでもあるローストビーフ。
例にもれず、その期限や歴史には色々な説がありますが、始まりはなんと古代ローマ時代に遡るそうで、イギリスに駐留していた古代ローマ軍の兵士達が牛肉の塊をたき火で炙り焼きにして食べた事が始まりと云われています。
この食べ方はその後の貴族の食事に継承され、日曜日に牛一頭を捌いて、その塊を暖炉や専用の焼き窯で焼き上げたものを食卓で薄切りにして頂くようになりました。
もちろん牛一頭分のお肉を1日で消費出来るはずもなく、数日間に亘ってローストビーフを食べ続け、また次の日曜日に新たな牛が焼かれては連日食べ続ける生活が繰り返され、「サンデーロースト」と呼ばれるようになります。
この頃、庶民の家庭にはオーブンや焼き窯がないため、主に焼き窯のあるパン屋さんに塊を預け、教会礼拝後に受け取って、やはり食卓で頂いていたようです。

「サンデーロースト」が一般的になったのは産業革命時代からと云われていますが、この頃にはオーブンも普及し、日曜日には教会への礼拝後の食事として頂くのが伝統化されます。
こちらも諸説はありますが、元々はイギリスでクリスマスの際の晩餐を簡素化したものが、
~日曜日の“教会参拝後の”特別な午餐(ごさん)~ として習慣化していったのでは、と云われています。

実はローストビーフを頂く食事は、食べる時間や曜日によって呼び方が異なります。
「サンデーロースト」と云えば、主に日曜日に頂く、主菜がローストビーフの午餐をさします。
これは「サンデーティー」または「サンデーディナー」とも呼ばれます。
因みに、この場合の「ディナー」は1日の夕食の意味ではなく、その日の「正餐」を意味するものになり、薄く切ったローストビーフにグレイビーソースを掛け、ヨークシャー・プディング、クレソン、それにホースラディッシュを添えて供するのが正式なスタイルなのだとか。
日曜日に残ったローストビーフは翌日以降、再度食卓に並ぶことになるのですが、月曜日に頂くものは「マンデーティー」「マンデーディナー」。これにはポテトフライ(チップ)、サラダを添えるのが一般的で、月曜日以外に頂く場合は「ローストランチ」「ローストディナー」と呼ぶそうです。
 
「サンデーロースト」は牛に限らず、鶏肉、子羊、七面鳥等のローストも供されますが、やはり一番愛されているのはイギリスを代表するお料理である「ローストビーフ」。
あまり美味しいと云われないイギリス料理の中でも、これだけは特別な存在なのですね。

因みに、日本で初めてローストビーフがお披露目されたのは、1867年(慶応3年)のこと。
第15代将軍・徳川慶喜が、アメリカ、イギリス、オランダ、フランス等の大使を招いて催した晩餐会のメニューの中に、ローストビーフの名前が記録されているそうです。

当時の日本人の目には、まるで馴染みのない牛肉を食する異国の人々は、どう映ったのでしょう?

明治以降、肉食が解禁されると共に牛肉も一般に普及して、次第に人気を得るようになり、明治26年頃に発行された「素人料理 年中惣菜の仕方」には、ローストビーフの調理法が掲載されるまでとなりました。
以降、西洋料理の普及と共に、結婚式や豪華な宴会のメインとして供されるようになり、ローストビーフは私達の食生活の中にしっかりと組み込まれていきます。
 

いかがでしたか? 
こうやって紐解くと、一つのお料理にも長い歴史や伝統が存在するのですね。
今日ではスーパーのお惣菜コーナーにも並び、丼物やお寿司にまでアレンジされて、すっかり身近な存在になったローストビーフ。
とは云え、当サイトでお取り扱いをさせていただいている銘柄和牛を使用したものともなれば、やはり「特別な日の贅沢な一品」である事に変わりはありません。
サーロインやランプ、肩などを使っても美味しいのですが、適度な脂と柔らかな赤身のモモが日本人には一番合うのではないでしょうか?
また、塊のお肉を食卓で切り分けるのもワクワクしますよね。


ハレの日。特別な贈り物に、少し奮発して素敵な時間をご家庭で。


~次回もどうぞお楽しみに~♪

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